先日、佐藤愛子さんの本で、今の若者は・・・みたいな本を読んだ後に、たまたまこの本を見つけ、柳田さんはどう考えているんだろうか と興味を持って読んでみました。
柳田さんの考えを簡単にまとめると、テレビやネットなどの利用が増え、対人関係が希薄になること、またネットの世界では自分が王様であり独善的になり勝ちになるという環境に問題がある。対策はテレビを見ない日、携帯やネットを使わない日を作りましょう、そうすると自ずと人と接する時間が増えるので、良い効果をもたらすでしょう ということかと思います。
読んだ感想としては、いまいちスッキリしないなぁと。柳田さんと言えば、膨大な取材などによるデータ収集と、それらに基づく緻密な分析から結論を導くという印象がありますが、この本の場合、はじめに「原因はこうで、対策はこうするべきだ」という結論があって、その考えを後押しするための本なり論文なりを引用したように見えます。
「確かにそういうことを言う人もいるかもしれないけど、全く違う意見や論文もあるんじゃないの?そのあたりのとこはどうなの?」と言いたくなる不公正さを感じます。
それから柳田さん自身は、もともとワープロを使うよりも、ペンを使ったほうが良いと考えているとご自身が書いていますので、そういう方が、ネットや携帯がどうのこうのと言っても、それもまた、いまいち公正さに欠くのではないかと思ってしまいます。ただ、そう言う私も、このブログを書いているぐらいなので、どちらかというと、ネット依存型に偏っているので、あまり公平な目で見ていない可能性もあります。
柳田さんが書いているとおり、凄惨な事件をまだ中学生や高校生、時には小学生のような子たちが起こすようになった背景は、ある特定の理由に絞ることは出来ないのが実情で、それ故に、何が原因だと書いたところで納得行くものはないのかもしれませんね。
この本を読んだ後に、たまたまニュースで見たのですが、ある病院ではネット依存症の人の相談が増えて来ているとのことです。ネットに接していないと不安になったり、なかなかネットゲームを止められなかったりして、引きこもりになったりする人もいるとか。さらに、お隣の韓国では、すぐにキレる若者が増えて来ていることを危惧する声が多いというようなことも最近のニュースで見ました。
文化や習慣が異なる国でも同じような現象が起きているとすると、やはりそこには共通の原因が潜んでいるのでしょうね。ネット依存というのも、たしかにその一つではありそうです。
一つ、身につまされたのは、「普通」というのは、「他の人と同じ」ということではないよということです。他の人と同じであっても、それが異常じゃないということにはならないということです。たしかにその通りですね。
それから引用文献の中に尾木ママの調査結果がいくつか出て来ました。実はスゴイ方なんですね。今のテレビでの振る舞いを見ていると、ちょっと信じられませんが。