以前はよく乃南さんの本を読んでいましたが、今回、ずいぶん久しぶりに読みました。乃南さんといえば、自分の中では、凍える牙に代表される刑事ものやサスペンスものの作家さんという印象がありますが、この小説は全く違っていました。
両親から愛されることなく育った青年が、犯罪を繰り返しながら西へ西へと移動していく途中で、宮崎県の山村にたどり着き、ひょんなことからそこに住む老人たちと生活して行くことになります。老人たちとの生活を通じて、自分を見つめ直して行くのですが、途中で、やはり自暴自棄になりかけたりする不安定さが読んでいてハラハラします。最後はジーンとする良い小説でした。