この本は短編集で、その中に「パン屋再襲撃」が収められています。この小説は、夜中に無性にお腹がすいて眠れなくなった夫婦が会話している中で、過去に夫がパン屋を襲撃したけど、その時にパン屋に呪いをかけられたに違いないということになり、その呪いをとくために、もう一度パン屋を襲撃しようという話です。今から30年近く前の作品ですが、既に今の作品に通じる独特の世界観があるなぁと感じました。
他の短編も恋人であったり、兄妹であったり、様々な男女が登場し、皆、普通の生活を送っているんだけど、実はどこか変わった一面を持っています。なんとなくはじめはボンヤリとしていた謎が、少しずつ輪郭がはっきりしてきて「それで、どうなるの?」と物語に引き込まれてきたところで結論の無いまま終わってしまうような話が多く、それは敢えて、そのような小説にしているのでしょうけど、そればかりだと、消化不良の気持ち悪さが残ってしまうなぁと感じました。
つい先日出版されたばかりの「女のいない男たち」も、男女がテーマの短編集でしたが、そちらのほうが読み易かったです。
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