あれこれと

北海道に関するホームページを作ったけど、いまいち訪問者が増えないので、ブログを立ち上げて、こちらを経由してホームページを訪問してくれる人が増えるといいなぁと。なので、こちらではテーマもなく、北海道とも無関係なことも書いていきます。こちらのブログを見た方は、リンク先のホームページ「いつでも北海道に行きたい!」も見てみて下さいね!

笠耐さんの「ある昭和の家族「火宅の人」の母と妹たち」を読みました

題名を読んでわかる人はわかると思いますが、笠さんは、作家の檀一雄さんの妹です。

火宅の人は、檀さんの代表作であり、最後は癌に冒された身に鞭打って仕上げた自伝的な小説で、その完成からしばらくして永眠されました(最後は病床で口述筆記をされていたそうで、カセットテープに録音された当時の声を聞いたことがありますが、とても苦しそうでした)。当然のことながら檀さんの視点から描かれているため、そこに登場する方からは、「いやいや、ちょっと、それは事実と違うでしょ!」ということもあり、ですが、作者の檀さんは亡くなられているため、本人に反論することもできず、各々が言いたいことは、本という形で公に論じられています(もちろん、出版社の思惑もあるのでしょうけど)。沢木耕太郎さんが、檀さんの妻であるヨソ子さんへのインタビューを通じて書いた「檀」という小説で、妻の視点で、火宅の人と同じ時期の出来事を振り返っています。そして、愛人関係にあった入江杏子さんが「檀一雄の光と影―「恵子」からの発信」で、同じ時期のことを書いています。そして、檀さんの母である高岩トミんが「火宅の母の記」で、こちらは「火宅の人」以外にもよく描かれていた、「母が若い学生と出奔した」ことに対して、そうじゃないんだということを書いているようです(高岩トミさんの本は読んだことがないので違うかもしれませんが・・・)。

今回読んだ笠さんの本は、これらとは、また少し異なるもので、そういう一見、ハチャメチャであるように描かれていた家族は、実は、檀一雄さんを中心に、皆が、それぞれを愛し合っていた絆の深い家族だったんですよということを描いています。檀さんを知る人は、その人柄に惚れたということをよく書いていますが、妹の立場からも、檀さんの温かい人柄が描かれています。火宅の人を読んだことがない方は、なかなか、そうした複雑な背景がわからないでしょうから、いまいち面白くはないかもしれませんが・・・。

先日、檀さんの妻であるヨソ子さんが亡くなられたことがニュースに出ていました。笠さんもご高齢で、だんだん檀一雄さんを知る方が減っていく中、檀さんに関する新たな情報があり、檀さんファンには面白い本だと思います。

 

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笠