自分にとって土地勘のある鎌倉から大船あたりを舞台とした小説ということで、より具体的に情景を思い描きながら読めたのは良かったです。
内容は、帰宅部の高校生が、あることをきっかけに、剣道部に入部します。その剣道部で指導にあたる人物がもう一人の主人公なのですが、その父親からの精神的な呪縛から逃れられず、もがき苦しむ姿が全体的に描かれていて、読んでいると気が重くなります(笑)
剣道というよりも、武士道みたいな話なので、題名の「武曲(むこく)」という言葉もそうですが、全体的に現代人が使わないような難しい言葉や仏教用語が多様されているほか、ちょっと哲学っぽいことも描かれています。そのため、小説のイメージというのか、その重々しい感じが出ている点では成功していると思いますが、読み易さという点では、どうかなぁ・・・という気がします。特に、個人的には、体育ですら剣道の経験がない私には、想像が難しいところが多くて、読むのが苦痛なところもありました。
なんとなくスターウォーズっぽさ(この人はルーク・スカイウォーカーで、この人はダースベイダーで、この人はヨーダでみたいな)を感じたのは自分だけでしょうか。別にフォースを操れるわけではないのですが、この登場人物達には、常人には見えない世界が見えているという点で。
この小説は、2017年に綾野剛さんの主演で映画化されているんですね。精神的な世界観が壮大だったり、逆に、微に入っていたりするので、そこをどう映像で表現されているのは気になるところです。
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