久しぶりに、藤田さんの短編以外の作品を読みました。主人公はエリート銀行員で、お金に不自由もしていないのに、ヘンなプライドがアダとなり、銀行のお金を横領し、警察から追われる身となります。そして、逃亡生活に疲れ果てた時に、義父の別荘の存在を思い出し、そこへ辿り着きます。が、無人のはずの別荘には、妻が住んでいて、妻は離婚してくれることを条件に、しばらくかくまうことを約束します。訪問者がいる間は納戸に軟禁状態にある夫が、その節穴から覗く妻の姿は・・・ という話です。
精神的に追い詰められていた主人公が、妻に対して新たに抱く感情によって、心が移り変わって行く様が、臨場感に溢れた筆致で描写されていて、「いったいどうなるんだろう」という先を読み進めたい欲求をいざないます。
この作品は、「笑う蛙」という題名で映画化されているそうで、是非、観てみたいなぁと思いました。
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