奥田英朗さんの「無理」を読みました
「ゆめの」という町に住む、性別、年齢、職業もバラバラな5人の身の回りに起こる出来事が、並行して少しずつ描かれ、それぞれに全く接点がなかった彼らが、最後に、あるひとつの出来事に同時に遭遇するという内容です。
地方都市がかかえる高齢化、就職難、外国人居住者との軋轢、官民の癒着などなど、「ゆめの」という名前とは裏腹に、夢がなく息苦しい町の姿が、不穏な天候という象徴とともに描かれていて、読んでいて息苦しくなります(笑)
終盤にかけて、自分で自分の首をしめるように、状態は、どんどん悪化して行き、「ここから逃れられるのだろうか?」と、先を読み進めたくなりました。
話は「実際に、そこまでのことはないだろう!」という、いかにも小説らしいものですが、ストーリー展開や追い詰められた人間の心理の巧みな描写から、スゴイ作家だなぁということをうかがい知ることが出来ました。
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