父が「面白かったから読んでみたら」と、くれた本です。角幡さんは探検家で、同じく探検家の荻田泰永さんにインタビューをしたことがきっかけで、約160年前に北極探検へ向かい、隊員129人が全員死亡したフランクリン隊について興味を持ち、自分も北極へ行ってみたいと思うようになり、北極を専門的に探検している荻田さんと一緒にフランクリン隊のたどったルートをたどるように人力(ほとんど徒歩)で踏破した冒険記です。
文章は、淡々としていて、マイナス40℃近くにもなる寒さの中を重さ100kg近くもあるソリを曳きながら、数ヶ月もの間、毎日10kmも20kmも歩く過酷な旅であるにもかかわらず、たまに笑ってしまうような場面もあるのですが、北極熊との遭遇や、あまりの空腹にジャコウウシを撃って食べる場面などは、それを体験した人にしか描けない臨場感があり、その緊張感が伝わってきました。
この本は、そうした冒険記でもあるのですが、もうひとつのテーマが、フランクリン隊の謎に迫るというもので、彼らがたどったルートのところどころで、彼らがどういう運命をたどったかということを膨大な参考文献と、自身の北極での体験をもとに推理して行くという、ミステリー小説のような側面も持っています。
約400ページもある本ですが、ページ数の制限が無ければ、もっと書きたい話がいっぱいあったんだろうなぁということが想像できてしまうほど、盛りだくさんの内容となっています。
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