横浜のタワーレコードへ行ったのですが、欲しいCDが見つからず、そのまま駅に戻るのもなんだなぁということで、西横浜方面へ歩き始めました。
「もう少し歩いてみるか」
と、星川駅まで行こうと思ったのですが、途中で道を間違えてしまいました。道を間違えたついでに、近くにパン屋さんがあったりしないかなぁと、google mapで調べたら、ちょっと歩いたところに天竜堂というパン屋さんがあることがわかり、そちらへ向かって歩き始めました。そして、途中で後悔しました。
「なんだ、この坂は！」
一応、横浜で生まれ育った私は、横浜が実は坂だらけだということは、よく知っていますし、実際、私の実家は坂の途中にありますし。しかし、この坂は、ほぼ登山じゃん！という勾配です。この日は気温33℃で、横浜駅から歩いて、ここまで来ただけでも、かなりヤバイおじさんだと思いますが、その上、この坂を登っている自分って・・・。とか思いながら、坂を登りきると五叉路になっていて、その交差点のすぐそばに目指すパン屋さんがありました。
「あれ？休みか？」
入口と思われる場所はシャッターがしまっていました。でも、よく見ると、葉で覆われたところに入口があり、中を覗くと店員さんはいませんが、パンが並んでいたので、どうやら営業しているようでした。
引き戸をガラガラとあけて中に入ったのですが、依然として、店員さんは現れません。とりあえず、ゆっくり商品を見てみました。パンはショーケースの中に入っていて、数は多くありません。
「どれ買おうかなぁ。あれ？」
パンの種類や値段を示す札が何もなく、ただ、パンが並んでいるだけ。でも、パンの形や、パンからちょこっとはみ出した具から、だいたい、なんのパンか想像がつきました。
その中から、ハムが挟んであるパンと、形からしてクリームパン、あと一つはなぞのパンを買うことにし、店の奥のほうに「すみませ～ん」と声をかけました。すると、おばあちゃんが出てきて、私が指をさしたパンをトングで取ってくれました。
「ハムパンとクリームパンとロールパンですね。390円です。」
なるほど！クルクルしたパンだからロールパンね。
3個で390円という値段からして、どうやら、どのパンも130円らしいことがわかりました。
帰り際、おばあちゃんが
「近くの幼稚園にパンを出しているんですけど、それが、その3種類のパンなんですよ。たまに懐かしいって言って買って行く人がいるので、お客さんも、そうかなぁと思いました。」
と言われました。私がそれを選んだのは偶然なんですよと言うと、可笑しそうにされていました。それだけの会話ですが、なんとなく心が温まりました。苦労して坂を登った甲斐があった。
あぁ、ほっこりエッセーみたいになってしまった・・・。パンは家に帰ってからトースターで温め直して食べました。表面がカリッとしていて中身はサクッとしたソフトな食感で、見た目のとおり、今風ではありませんが、美味しかったです。
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