チームバチスタのシリーズもののような医療現場における問題点を絡めた殺人事件というような小説を想像していましたが、それとはちょっと毛色の異なるものでした。
ただ、医療が抱える問題を提起しているという点ではチームバチスタのシリーズと同様です。この小説では産婦人科に焦点を当て、官僚のご都合主義の犠牲となっている医療現場の実態が描かれています。また代理母出産の是非についても、主人公に海堂さんの考えを語らせているのかなぁと感じました。医師でもある海堂さんですから、思うところがいっぱいあるのでしょうね。
つい先日、ドラマ「チームバチスタ螺鈿迷宮」が終わったばかりで、続いて映画「チームバチスタ ケルベロスの肖像」が始まったばかりと、海堂さん作品の映像化が続きます。さらに、初期のチームバチスタ作品でその存在を世に知らしめ、そして螺鈿迷宮でも重要な役割を果たすことになるAi(オートプシー・イメージング)を、死亡した子供全てに実施しようという動きが厚生労働省の旗振りのもと本格化するというニュースがつい最近報じられていました(虐待死の見逃しを防止するため)。これは海堂さんだけの力によるものではないでしょうけど、実際に医療が抱える問題をエンターテインメント化し、その重要性を医学に馴染みのない我々にもわかり易く説いた海堂さんの影響は間違いなく大きいでしょうね。
本を読んでいて感じたのは、専門的な用語なども出て来て、ちょっと油断すると何のことを話しているのかわからなくなってしまうので、電車の中などではなく、どこか静かなところでゆっくり読むべきだったなぁと。
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