ブックオフで「ガリレオ」の文字を見つけて買いました。別に東野圭吾さんの小説を連想したわけではありませんが、なんとなく「ガリレオ」という題名がついている本は面白そうだなぁと思ったので。
7つの小説が収められた短編集で、その一つが「ガリレオの小部屋」でした。この小説は、早大出身の自分には、忘れられない慶大出身の3人がいるというような出だしで始まり、その3人との思い出が語られるという内容です。その他の小説が、ちょっとファンタジー感があったり、ホラーめいていたり、ハードボイルドっぽかったりして、フィクション感が強めなのに対し、この小説だけは私小説っぽさを感じました。幼少の頃、横浜の保土ヶ谷で過ごし、そこで、普段は親しくすることもないクラスメイトと、鳴き声だけはするけど、その姿を見たことがない牛を探しに行くという描写が妙に具体的だったので。今はどうだかわかりませんが、たしかに、昔は保土ヶ谷あたりには牛がいたんだよなぁということを思い出したりして。きっと作家の香納さんは保土ヶ谷あたりの出身なんじゃないかなぁと思ってwikipediaで調べてみたら、横浜出身で、さらには早大出身だそうです。
あとがきを読むと、「すべての作品に作品集としての共通低音と多様性を持たせたつもりだ」と書いてあり、たしかに「同じ小説家が書いているのかな?」ということを感じさせるほど、ジャンルはバラバラで、そういう点で多様性は感じました。「共通低音はなんだろう?」と考えてみると、登場人物が、それぞれ何か悩みや問題を抱えながらも一生懸命に生きているという点なのかなぁ。あとは、「こういう方向に話が展開するのかなぁ」と思いながら読むと、全く、自分が想像した方向には話が進まないという点も共通していました(笑)
レビューを見ると、あまり評価はよくないようですが、個人的には、楽しく読ませていただけました。
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