毎度のことながら、まったくの予備知識もないまま読みました。登場人物の個性がわりと早い段階でつまびらかにされていたので、なんとなく短編小説なのかなぁと思いながら読み進めていきました。主人公はキャバレーの呼び込みをしている40歳の男性で、惰性で生きているような人物です。その男性が、ある日、近くでチーママとして働く女性と出会い、一瞬で惹かれます。一般的な家庭で育った2人が、どうして今の境遇に至ったかという背景や、腹の中では相手を見下しているような性格が描かれていることで、どういう人物かということがイメージし易かったです。そのあたりの技術であったり、心斎橋あたりの夜の世界を舞台としていることから、ベテランの男性作家が書いているのかなぁと想像しながら読んでいたのですが、読み終わってから、女性作家で、しかも、この小説を書いたのは30代半ば頃だということを知り、その若さで、こういう小説が書けるのは、すごいなぁと感心しました。
短編小説と思っていたのは半分当たっていましたが、半分はずれでした。1話目の小説に登場する人物が、2話目の小説の主人公として登場し、ところどころで1話目に出てきた出来事が別の視点で描かれています。このあたりの工夫もすごいなぁと感心しました。
西さんとは、いったい、どんな方なんだろうと思って調べてみたら、ブログを見つけました(こちら)。プロレスファンだったり、さんまさんのことを書いていたり、「あれ?普通の方なんだ」ということが意外に感じました。勝手に世俗との関わりを断った仙人のような方をイメージしていたので(笑) 他の小説も読んでみたくなりました。
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