安藤さんは、公務員でありながら執筆活動をされている異色の作家さんです。ほんのちょっとだけご縁があり、我が家にはサイン入りの本があったりします。
自分より若い方の本を読むことは少ないので、なんとなく心の奥底で、「いったいどんな内容の小説なんだか読ませて貰おうじゃないの」と、上から目線で見てしまいます(でも、よくよく考えると、今まで読んできた本は、その作家さんが、今の私よりも若いときに書いたものが多かったりするんですよね・・・)。
主人公は、営業マンでありながら、内気なために、まったく契約をとってくることが出来ず、リストラされそうになったところを、新たに立ち上げることになった営業零課に拾われ、そこから奮闘するという内容です。はじめのうちは、営業零課が、あまりに現実離れした課なので、「つまらなそうだなぁ」と思っていました。が、主人公やその周囲の人達の人となりがわかってくるに従い、だんだん「頑張れ!」という気持ちになり、中盤からはとても面白く読むことが出来ました。きっと、安藤さんご自身がサラリーマンを経験されていたので、同じサラリーマンとして、すごく共感できる部分があったからなんでしょうね。読み終わった後は、とても爽やかな気持ちになりました。久しぶりに面白い小説に出会えました。