三浦さんの小説は、なんとなくパターンがあって、ものすごくザックリ言うと、善良な人が真面目に生きていて、その生き方が報われ、まさに人生最良の日が訪れようとしているときにどん底に落とされ、そこでキリスト教と出会うという展開です。この小説も、きっと、そういうパターンなんだろうなぁと思い、いつ不幸が訪れるのかとハラハラしながら読んで行きましたが、そのような展開が来ることなく終わりました。ということで、なんとなく三浦さんらしくないなぁと思う小説でした。とは言っても、登場人物の生い立ちや性格などの人物設定、ストーリー展開には、三浦さんらしさがあり、面白くて約600ページを2日間で読んでしまいました。
内容は、ある姉妹が小学生の頃に、親の離婚で、それぞれ父、母に引き取られ、それ以来一度も会うことなく育って行ったのですが、それぞれが成人してから、度々会うようになります。育った環境が違ったからか、同じ姉妹なのに、姉は天使、妹は悪魔のような性格で、周りの人達は妹に振り回され、みなが疲弊します。が、実は、その妹の勝手な振る舞いによって、善良と思われていた人達の裏の顔が暴かれていくことになり、結局、はじめから最後まで、裏も表もなく生きているのは、この姉妹だけという話なのかなぁと思います。
小説の内容とは全く関係ありませんが、この小説を読んでいて、「これっていつ頃書かれたものなのかなぁ?」と度々思うことがありました。と言うのも、ここで描かれている「最近の若者」というのが、今の時代の最近の若者と変わらないような気がしたので。読み終わってから、この小説が約40年前の作品だと知り、ということは、いつの時代も若者というのは、「最近の若者って・・・」という存在なのかもしれないなぁと思った次第です。
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