あれこれと

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夏目漱石の「こころ」を読みました

ずいぶん「純文学」っぽい小説を読んでいなかったため、無性に、そういう小説が読みたくなり、ブックオフで購入しました。

「こころ」は、高校生の頃に、一度読んだことがあります。その頃に読んだ本で、印象に残っているのが、太宰治の「人間失格」とハーマン・ メルヴィルの「白鯨」と、この「こころ」です。そう書くと、まるで文学青年だったように思われるかもしれませんが、全くそんなことはなく、夜、布団に入り、本を読みながら「ストン」と眠りに落ちるというのが習慣になっていて、逆に、本を読みながらじゃないとよく眠れなかったので、内容を問わず、どんな本でもよかったのです。ということで、家にあった本を適当に読んでいたのですが、「人間失格」と「こころ」は、そのストーリーに衝撃を受けて記憶に残っています。「白鯨」は、それを読むと、なぜか悪夢を見るという日が連続し、途中で読むのを断念したということで記憶に残っています(笑)

章の構成は「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」のたった3部からなっていて、この章構成を見ただけで、なんとなく不穏なものを感じます。小説の出だしは、主人公「私」の「先生」との出会いについての回顧という形で始まります。だんだん親密になっていくのですが、心に闇の部分が見え隠れする「先生」に対し、それが何ゆえかということを知りたい「私」の欲求が思いもよらない形で叶います。

高校生の頃には、そのストーリー性だけが印象に残ったのですが、今回、あらためて読んでみると、やはり心理描写が上手いというか、よくこんなに細かい人間の内面まで描けるなぁというところに驚きました。そして、それが的確というか無駄な言葉がないところが、またすごいとろこです。文学は数学のように答えがあるものではありませんよね。例えば、「あの人の行動を文章で説明してみて下さい」と複数の人に書かせたら、その人数分だけ回答が出来ます。それが、夏目漱石であれば、最も短い文章で、最も的確に表現できるのではないかと思います。

最後の解説を読んで、また驚いたのが、「こころ」は、もともと朝日新聞に連載されていた新聞小説だったんですね。この重い話を毎朝読む新聞に載せちゃうというのがスゴイなぁと。そして、はじめは自費出版だったそうです。岩波文庫から出版させて欲しいという話があったけど、岩波文庫には、まだお金が無かったので、夏目漱石が立て替えた形になっていたということのようです。

100年前に描かれた小説ではありますが、それほどの読みづらさは感じません。

「昔の言葉でいえば、まあ勘当(かんどう)なのでしょう」なんて書かれているところもあって、「勘当なんて、今でも死語になりつつある言葉だけど、100年前にも死語になりつつあった言葉だったのかなぁ」なんて発見もあったりして、そういう点でも面白かったです。

 

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