表題を含む短編3作品からなります。かつどん協議会は、かつ丼の売れ行きが全国的に低調となってきたことを憂い、その関係者が集まり、キャンペーンを企画しようということになり、豚肉、玉子、米、パン粉など、それぞれの業界の代表者が集まり、その内容について議論します。が、皆、自分が有利になるようなキャンペーンにしたくて、全く、話がまとまりません。内容は、とてもバカバカしいのですが、「よく、こんなことを考えるなぁ」と感心しました。読んでいて、椎名誠さんを思い出しました。
もう一つの小説「くじびき翁」は、フリーライターが主人公です。政治なんて、なんでも多数決で決めてしまうから、ろくなことにならないのであって、くじびきで決めてしまうのがいいんだ!と主張する人がいて、はじめは、全く相手にしていなかったけど、それを記事に取り上げたら面白いのではないかということになり、ライターが企画書を作ります。こちらも内容は、バカバカしいのですが、「日本国民って、こうなんだよ」ということをわかり易く表現している風刺のようにも感じました。
面白い小説を書く方だなぁと思って、wikipediaで調べてみたら、はじめは、あまり売れず、小説家をやめようと思っていたら、「床下仙人」という小説がヒットして、小説家を続けることにしたそうです。この「かつどん協議会」は、デビュー作とのことで、売れる前の作品なんですね。ほかの作品も読んでみたいなぁと思いました。
話は全く変わりますが、解説はイッセー尾形さんが書いているのですが、その中で、床下仙人の小説のような実話があったことを紹介しています。他人の家の天袋に1年間も気付かれずに住み続けたオバさんがいたとのこと。「そんなニュースあったっけなぁ?」と思って、調べてみたら、たしかに、2008年に福岡県で、そういう事件があったんですね。おそるべし!
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