未だに多くのファンを持つ太宰治の特別展ということもあり、館内には下は10代から上は80代とおぼしき方々が熱心に展示品を見ていました。
私は特にファンというわけではありませんし、高校生か大学生の頃に代表的な作品をいくつか読んだ程度ですが、神奈川近代文学館には一度も行ったことがなかったので、一度ぐらい行ってみるかというノリで行って来ました。
人間失格などの原稿の類が展示されているかと思えば、実際に太宰が着ていたマントなども展示されていて、「このぐらいの身長だったんだなぁ」と感じることができ、なかなか興味深かったです。また、中学生や高校生の頃の写真などもいっぱい展示されていて、中でも芥川龍之介のポーズを真似ている写真は、少年らしさが表れていて、その後の人生を知っている我々から見ると、そのあどけなさを逆にちょっと物悲しく感じたりもしました。
最も印象的だったのは、文学にとって最も大切なのは「心づくし」であると言っている点です。太宰の小説は、もう70年近く前の文章ですが、あまり読みづらさを感じないという印象があります。おそらく太宰ほどの人だったら、禅問答のような難解な文章も書こうと思えば書けたのでしょうけど、敢えてそういう表現を避け、日常の言葉に近い文章で表現することを選んだのではないかと思います。それが、心づくしの一つだったのかなぁと。そして、それが彼が愛され続けていることの理由の一つなのかなぁと思いました。
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