あれこれと

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多田富雄さんの「寡黙なる巨人」を読みました

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題名から、なんか面白そうだなぁという印象を受けて買いました。私はてっきりミステリーとかサスペンス小説かと思っていたのですが全く違いました。内容は多田さんの壮絶な体験を描いた表題作の「寡黙なる巨人」のほか、エッセイなどからなっています。
多田さんは、元東大医学部の教授だった方で、ある日、滞在先の金沢で脳梗塞を発症し、右半身の麻痺と嚥下障害、言語障害を起こします。その時の経過を、医者としての知識に基づき、とても冷静に分析し、一方で、その絶望感を、とても人間らしく描いています。
寡黙なる巨人というのは、脳梗塞を発症する前の自分とは異なる自分が、自分の中に生まれたとし、そのように称しています。多田さんのすごいところは、以前はなんでもないこと、例えば、歩くことであったり、会話ができることであったりということが、病気を発症した後では、その日、一歩歩くことができたり、また、別の日には、「パ」の発音ができたことに対して、大きな喜びを得られる人生を、以前よりも「生きている」という実感を持てるようになったと前向きに捉えている点だと思います。また、宗教的なことが書かれていないというのも、科学者らいしなぁという印象を受けました。
多田さんは、その後、小泉改革により障害者のリハビリ期間が最長でも180日間に制限される「診療報酬改定」に反対するために立ち上がったり、造詣の深い能の知識を活かし、新しい能の作品を作ったりと精力的に活動され、2010年に癌が原因となり亡くなられたそうです。「寡黙なる巨人」というのは、自分を揶揄する呼び方だと思いますが、私から見ると偉大なる「巨人」だと感じました。

 

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