この本を読もうと思ったのは友人がこの小説家の本を読んだという話を聞いて「帚木」という変わった名前が記憶に残っていたので、本屋で「あぁ、友達が話していた小説家だ」と、なんとなくこの本を手にとったためでした。
ということで、またまた予備知識がないまま本を読み始めると、なんだかとても変わったストーリー展開で話が進みます。
最初に登場する主人公らしき少女が、ある大きな悩みを抱えていろいろ無茶をするのですが、「それでどうなるの?」というところで、全く別の人の話に変わります。という展開が何度か続いた後に、いきなり時代が変わります。そして、それまでに登場してきた人達の関係性がそこで初めてわかります。その舞台が病院です。その後は、病院での日常が描かれ、そしてある日事件が起きて…という展開につながります。
この小説は、なんだかいつの時代の話なのかがよくわからない不思議な小説でもあります。終戦直後の話をしていたかと思うと、カラオケの話も出てきたり。もう一度読み直すと、ちゃんと辻褄が合うのかもしれませんが、通勤時に途切れ途切れで読んでいたせいもあって、どうも時代設定に違和感を覚えながら読んでいました。
また、なんとなく心が重くなるのを感じました。それは、精神的に病んでいる人達に対する家族や世間の冷たさというものが描かれているのですが、そういう部分が自分の中にもあるからなのかもしれません。
ということで、なんとなく読みにくくて、いつも以上に読み終わるのに時間がかかってしまいました。ただ、最後はどこか清々しい気分になれたのは良かったです。